Domaine Tollot-Beaut
ドメーヌ・トロ・ボー

多少の知名度こそあれど、マルサネのようにグラン・クリュはおろかプルミエ・クリュすらない村、ショレイ・レ・ボーヌにおいて、別格の存在がトロ・ボー。
手掛ける銘柄のほとんどは赤ワインですが、2種類のみ手掛ける白ワインにも定評があります。特にコルトン・シャルルマーニュは多くのブルゴーニュラヴァーが追い求める逸品。

概要

歴史は1880年にまで遡り、現オーナーファミリーのナタリー女史の曾祖父であり、ショレイ・レ・ボーヌの村長を務めドメーヌがある通りの名前にもなっているアレクサンドル・トロがショレイ・レ・ボーヌに畑を購入したことに始まります。ドメーヌの名前は、アレクサンドルの妻がオーレリー・ボーといい、両家の姓を合わせたことからきている。

トロ・ボーはドメーヌ元詰めを早くから始めた生産者の一軒でもあり、また1970年代には約18haの畑を所有するほどの規模を誇っていました。さらにアロース・コルトンやサヴィニー・レ・ボーヌ、ボーヌなどにも畑を買い足し今では約24haを合計で所有しており、赤ワイン14銘柄と白ワイン2銘柄と数多くのワインを手掛けています。
歴史が長いだけではなく技術革新にも意欲的で、畑仕事や醸造面でもそうですが、何より目を引くのはボトル形状。ボトルが分厚くネック部分が長く垂直なのはコルクの密着度を上げ、経年で脆くなったコルクの落下を防ぐ目的があり、1997年に考案され1999年ヴィンテージより実装しています。

ドメーヌは1990年代までジャック、アラン、フランソワの三兄弟によって運営されていましたが、現在はそれぞれの子供たち、ジャン・ポール、オリヴィエ、ナタリーに引き継がれています。またジャン・ポールはアンヌ・グロの夫であり、夫婦でラングドックのミネルヴォワの地でもワインを手掛けています。

栽培や醸造

除草剤や化学肥料は使用せず、リュット・レゾネを実践しているほか、耕作には馬を導入しています。夏季剪定により収量を制限し、収穫は手摘みで行います。また畑には古樹のピノ・ファンが植えられているのもトロ・ボーの特徴。シャルドネはショレイ・レ・ボーヌと、コルトン・ルナルドの斜面上にあるル・コルトン(AOCコルトン・シャルルマーニュ)にそれぞれ最高樹齢60年以上にもなる古樹が植えられています。
赤ワインは除梗したブドウをコンクリートタンク、またはステンレスタンクにて醗酵。最初の数日間、ルモンタージュを行い、その後は日に2回のピジャージュを施し樽へ移します。
熟成時の新樽率はアペラシオンにより異なりますがブルゴーニュ・ルージュとショレイ・レ・ボーヌは25%、村名のアロース・コルトンはそれよりやや高め、その他は50%ほどが多いですが年々新樽の使用を控えています。熟成期間は18ヶ月。
白ワインは空気圧式プレス機で搾汁しステンレスタンクにて醗酵、樽にてマロラクティック醗酵を施します。ブルゴーニュ・ブランは新樽率25%で12ヶ月熟成、コルトン・シャルルマーニュは新樽率60%で18ヶ月熟成。

所有する主な畑

Corton RENARDES コルトン・ルナルド

Corton コルトン

Corton-Charlemagne コルトン・シャルルマーニュ

Les Fournieres レ・フルニエール(アロース・コルトン・プルミエ・クリュ)

Les Vercots レ・ヴェルコ(アロース・コルトン・プルミエ・クリュ)

Champ Chevrey シャン・シュヴレ(サヴィニー・レ・ボーヌ・プルミエ・クリュ、モノポール)

Les Lavieres レ・ラヴィエール(サヴィニー・レ・ボーヌ・プルミエ・クリュ)

Clos du Roi クロ・デュ・ロワ(ボーヌ・プルミエ・クリュ)

Les Greves レ・グリーヴ(ボーヌ・プルミエ・クリュ)

ワインのスタイル

ピュアで透明感を感じさせる果実味と美しい酸、柔らかく親しみやすいタンニンを備えたスタイルで、若いうちから十分に楽しむことができる赤ワインが多いです。
白ワインは厚みと豊かな果実味、オークの甘やかなニュアンスが心地よいスタイル。

管理人コメント

トロ・ボーのワインはよく言われるように若いうちから親しみやすく、コルトン・グラン・クリュであってもリリースからすぐ楽しむことができます。しかしながら暑い年でも酸がしっかりとあり、全体のスケール感もあることから長期の熟成が期待される銘柄もいくつかあり、飲み頃である期間が長いと思われます。
白ワインはややモダンな印象も受けますが、赤ワイン同様にピュアな果実味で、ミネラルと酸の支えがあるスタイルで、ブルゴーニュ・ブランでもかなり満足度が高いと言えます。

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