今やヴォギュエやルーミエと肩を並べる生産者となったジャック・フレデリック・ミュニエ。
シャンボール・ミュジニーとニュイ・サン・ジョルジュに13haほどの区画を所有。シャンボール・ミュジニーのプルミエ・クリュ以上の銘柄は生産量が少なく、世界中のブルゴーニュラヴァーが探し求めているため、年々入手が困難になっています。
概要
ドメーヌの歴史は古く、1863年まで遡る。設立当初はリキュール・メーカーである「アペリティフ・ミュニエ」として財を成しました。
ドメーヌが所有する珠玉のクリマの一部は、1889年にマレ・モンジュ家から現在の本拠地となっているシャトー・ド・シャンボール・ミュジニーの邸宅を購入した際に付属してきたものでした。
しかし第二次世界大戦後の1950年頃、経済的問題から前当主のジャック・ミュニエは所有するほとんどの区画を、他の生産者に貸し出さざるを得なくなりました。
1978年にシャンボール・ミュジニーの畑をなんとか取り戻しましたが、ドメーヌの名声が築き上げられるのは現当主の代となってから。
フレデリック・ミュニエがシャンボール・ミュジニーに帰ってきたのは30歳となった1985年のこと。
スイスで生まれ、石油関連のエンジニアを務め、定期便のパイロットとしてのキャリアもある人物で、ワイン造りとは無縁の人生を送っていましたが、ドメーヌが貸し出していた畑の契約が1985年に切れるのを機に、フレデリックはワインの世界へ身を投じることを決意。彼が語っているように「全く違う生き方をしてみたかった」という考えも大きく影響していたでしょう。
フレデリックはボーヌの醸造学校でワイン造りの基礎を学び、隣人のクリストフ・ルーミエやヴォルネイの故ミシェル・ラファルジュから指導を受けました。
2004年にはフェブレイ社に54年もの間、貸し出されていたクロ・ド・ラ・マレシャルも戻ってきました。ジャック・フレデリック・ミュニエの銘柄と言えばミュジニーやボンヌ・マール、レ・ザムルーズなどの評価が際立って高いですが、クロ・ド・ラ・マレシャルもドメーヌ・ド・ラルロのモノポールであるクロ・ド・ラルロの真南に位置する畑であり、フェブレイ社に貸し出されていた間は、同社の戦艦銘柄であったほどの素晴らしい畑です。
また2014には、フランスの有名なバイヤーズガイドであるレ・メイユール・ヴァン・ド・フランスにて最高評価の3ツ星を獲得するなど、急速な勢いで成長を遂げています。
栽培や醸造
ミュジニーは樹齢約60~75年の古樹が植えられており、1997年に改植した15%の区画から造られるワインは、村名のシャンボール・ミュジニーに使用されている。ボンヌ・マールは30~50年、レ・ザムルーズが60~70年、レ・フュエも60年ほどの樹齢を誇り、ニュイ・サン・ジョルジュのクロ・ド・ラ・マレシャルも平均で40年以上と、古樹を大切にしている。
栽培は極めてビオロジックに近く、化学肥料は1986年に、除草剤も1990年には使用を止めており、食虫グモを畑に放つなどして、ブドウ樹を害虫から守っています。
ブドウ樹は長梢を長く伸ばし、樹勢のバランスを取ります。またグリーンハーベストや、春の厳しい剪定から収量は自然に抑えられ、平均して30hl/haほど。そして収穫においては決して遅摘みはせず、厳しい選果を終えたブドウは、ようやく醸造所へと運ばれます。
醸造においては基本的に100%除梗、醗酵前に15℃で3日間の短めの低温マセラシオンを行う。醗酵では木桶とステンレスタンクを、量的な問題で使い分けている。またフレデリックはルモンタージュよりピジャージュを好み、必要に応じて行っている。
熟成に使用する新樽率は年々減少傾向で、どのアペラシオンであっても15~20%ほどであり、将来的には一切新樽を使用せずとも高い水準のワイン造りが可能だと、フレデリックは語っている。その熟成期間は17ヶ月ほどであり、一度だけ澱引きと清澄が行われた後、無濾過で瓶詰めされます。
所有する主な畑
Musigny ミュジニー
Bonnes-Mares ボンヌ・マール
Les Amoureuses レ・ザムルーズ(シャンボール・ミュジニー・プルミエ・クリュ)
Les Fuées レ・フュエ(シャンボール・ミュジニー・プルミエ・クリュ)
Clos de la Marechale クロ・ド・ラ・マレシャル(ニュイ・サン・ジョルジュ・プルミエ・クリュ、モノポール)
ワインのスタイル
シャンボール・ミュジニーの生産者が造るワインの中でも、アペラシオンの魅力が際立って感じられるのがジャック・フレデリック・ミュニエの素晴らしいところ。
デリケートですが香り高くエレガントで、透明感に溢れる果実味とフィネスに富んだ口当たりが感じられます。タンニンは若いうちから極めて滑らかで、終始一貫して繊細な味わいです。
またフェヴレの戦艦銘柄であったクロ・ド・ラ・マレシャルも、以前は武骨で長期熟成させることを前提とするワインが造られていましたが、ジャック・フレデリック・ミュニエが手掛けるようになってからは、違う畑のワインかと思ってしまうような、エレガントなスタイルとなっています。
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