ロバート・パーカー4ツ星生産者であり、デキャンター誌においてクライヴ・コーツ(マスター・オブ・ワインでありブルゴーニュに精通した評論家、ザ・ワインズ・オブ・バーガンディの著者)から「時代を通じて活躍するブルゴーニュの10大ドメーヌ」に選ばれるなど、素晴らしい評価を得ています。
主にヴォーヌ・ロマネとニュイ・サン・ジョルジュに畑を所有し、その半分以上がグラン・クリュとプルミエ・クリュ。良質な畑の個性が映し出されたワインを造っています。
概要
ドメーヌ・ジャン・グリヴォの歴史は18世紀末にまで遡ります。
先代であり現当主の祖父にあたるガストンは、初めてディジョン大学で醸造学の学士を修めた人物。またガストンの結婚相手、マドレーヌ(旧姓はグリヴォだが両家に血縁関係はない)は婚資として多くの畑を、ドメーヌにもたらしました。
1955年にガストンが亡くなったことにより、ジャンがドメーヌを引き継ぐと1959年には元詰めを開始し、ドメーヌの名声を築きました。
5代目であり現当主のエティエンヌは、醸造学校を卒業し1982年にドメーヌに参加し、1987年にはジャンからドメーヌを任されます。
ちなみに奥様はドメーヌ・シモン・ビーズの故パトリック・ビーズの妹であるマリエルで。エティエンヌは若かりし頃に、ジョルジュ・ルーミエのクリストフと共にシモン・ビーズへと試飲に出かけ、そこで出会ったマリエルに一目惚れ。ワイン造りの家系の男とは結婚しないと決めていたマリエルを、何年もかけて口説き落としたと言います。
そんなエティエンヌは非常に研究熱心で、既に高い評価を得ていたドメーヌのワイン造りを徐々に変化させていき、現在のスタイルを確立させました。
2010年からはエティエンヌ氏の娘であるマティルドと息子のユベールが参加し、2017年にはマティルドが引き継いでおり、今後の更なる躍進が期待されます。
栽培や醸造
15.5haの畑にはリュット・レゾネを採用しており、リシュブールやエシェゾー、レ・ボーモン、レ・スショなどの畑では馬での耕作を行っています。
収穫されたブドウは完全に除梗。1980年代は低温マセラシオンを積極的に行い、凝縮感の強いスタイルのワインを造っていましたが、1990年代以降は慎重になり、その期間も1~2日としています。
醗酵前にピジャージュを少し行い、自然に始まるのを待ちます。その後は特にワインに触れることなく、醗酵が終わってから1日に1回のルモンタージュが施されます。
熟成期間は15ヶ月で、新樽率は村名は約25%、プルミエ・クリュが30~40%、グラン・クリュでも40~45%と控えめです。
瓶詰めまでの間、亜硫酸は極力使用せず自然なワイン造りに努めています。
所有する主な畑
Clos de Vougeot クロ・ド・ヴージョ
Richebourg リシュブール
Echézeaux エシェゾー
Les Beaux Monts レ・ボーモン(ヴォーヌ・ロマネ・プルミエ・クリュ)
Les Suchots レ・スショ(ヴォーヌ・ロマネ・プルミエ・クリュ)
Les Brulees レ・ブリュレ(ヴォーヌ・ロマネ・プルミエ・クリュ)
Les Chaumes レ・ショーム(ヴォーヌ・ロマネ・プルミエ・クリュ)
Les Rouges レ・ルージュ(ヴォーヌ・ロマネ・プルミエ・クリュ)
Les Reignots レ・レニョ(ヴォーヌ・ロマネ・プルミエ・クリュ)
Bossieres ボシエール(ヴォーヌ・ロマネ・プルミエ・クリュ)
Les Pruliers レ・プリュリエ(ニュイ・サン・ジョルジュ・プルミエ・クリュ)
Les Roncieres レ・ロンシエール(ニュイ・サン・ジョルジュ・プルミエ・クリュ)
Aux Boudots オー・ブド(ニュイ・サン・ジョルジュ・プルミエ・クリュ)
ワインのスタイル
ジャン・グリヴォのワインは実に優雅で、果実味も詰まっていますが透明感があり、フィネス溢れる素晴らしい口当たりが特徴的です。
ニュイ・サン・ジョルジュの武骨なワインが多く造られるアペラシオンであっても、ジャン・グリヴォの手にかかれば硬さのない若いうちから楽しめるものとなります。
管理人コメント
ジャン・グリヴォは管理人の最も好きな生産者の一つです。
ヴォーヌ・ロマネの生産者の中でも、親しみやすさがありながら官能的で非常に上品。ほどよい抽出で透明感があり、新樽の風味も控えめなため、畑ごとの違いも感じ取りやすいです。
私が以前テイスティングしたレ・プリュリエ2017も、果実味こそ野性的でしたが、ニュイ・サン・ジョルジュ南部のプルミエ・クリュから造られたワインとしては、武骨さがなく繊細な味わいで、とても印象的でした。
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