ヴォーヌ・ロマネ屈指のドメーヌの一つに数えられるメオ・カミュゼ。リシュブールやエシェゾー、クロ・ド・ヴージョなどのグラン・クリュに加えて、クロ・パラントゥーを筆頭としたプルミエ・クリュの数々を手掛けており、そのラインナップは豪華絢爛。
概要
メオ・カミュゼの歴史は、栽培農家でありコート・ドール県議会議員でもあったエティエンヌ・カミュゼに始まりました。
エティエンヌは素晴らしい畑を所有していましたが、その娘のマリア・ノワロには跡継ぎがおらず、1959年に近親のジャン・メオにドメーヌを託して亡くなりました。ジャン・メオは当時、パリでド・ゴール政権の閣僚を務めており、ドメーヌを自身の手で管理するのは困難だったため、折半耕作=メタヤージュ(土地を小作人に貸し、対価として出来上がったワインを折半してもらうこと)契約により、畑は小作人に任し、もらい受けたワインは樽のままネゴシアンに販売していました。この時に4人いた小作人の内一人がブルゴーニュの神様、故アンリ・ジャイエでした。その他には1920~1945年の間にカミュゼ家でワイン造りを行っており、メタヤージュ契約と同時にドメーヌ・タルディ(現ドメーヌ・ジャン・タルディ)を立ち上げたヴィクトル・タルディもいました。
1980年代半ばにメタヤージュ契約が終了し、小作人も引退と共にメオ・カミュゼ家に畑を返還(タルディ家は2007年まで契約を継続していました)。1985年から本格的にドメーヌ元詰めが開始。しかしジャン・メオがパリにいたままでの経営は困難となり、息子のジャン・ニコラ・メオがドメーヌ運営を任されました。
彼は1964年生まれ。商業学校でマーケティングを学び、銀行で研修へ参加、ワインとは無縁の生活を送る生粋のパリジャンでしたが、1989年に24歳の若さにしてドメーヌを継承。カミュゼ家とメオ家を通して初の栽培醸造家となりました。この時には引退を宣言していたアンリ・ジャイエも、コンサルタントとしてジャン・ニコラの指導に当たっており、メオ・カミュゼのワインの品質は大きく改善。
現在もジャン・ニコラが経営を行っており、畑仕事については、以前から小作人として働いていたクリスチャン・フロワが、今までの経験を活かしたアドバイスを周囲に行っています。
またメオ・カミュゼ・フレール・エ・スールの名でネゴシアン事業も展開しており、こちらではヴォーヌ・ロマネ以外のコート・ド・ニュイのアペラシオンも全て手掛けている。ネゴシアンではあるものの、短期賃貸契約でメオ・カミュゼのスタッフが畑の管理から収穫まで手掛けていることも少なくなく、ブドウやマスト(赤ワインの場合は果醪、白ワインの場合は圧縮した果汁の状態)を買い付ける時も、夏季剪定や収穫時の選果などを行い品質の安定化を図っている。
栽培や醸造
所有する4つのグラン・クリュはどれも抜群の立地で、評価の高いクロ・ド・ヴージョはクロ・ド・ヴージョ城の真下という絶好の区画から造られています。メオ・カミュゼがこの区画を所有しているのは、クロ・ド・ヴージョ城がコンフレリー・デ・シュヴァリエ・デュ・タストヴァン(ブルゴーニュ利き酒騎士団)に譲渡されるまでカミュゼ家の所有であったためです。またエシェゾーは一般的に良質と言われる畑の最上部の区画を使用しており、リシュブールに関しては最上部のリュー・ディであるヴェロワーユに1haもの広さを所有しています。コルトンは以前から単独所有していたクロ・ロニェ(ラドワ・セリニー側にあるル・ロニェ・エ・コルトンの南に位置)に加えて、2010年からはペリエールとヴィーニュ・オー・サン(どちらもアロース・コルトンに位置)の区画を新たに手掛けています。
さらにメオ・カミュゼを語る上で外せない畑がリシュブールの北西部に接するクロ・パラントゥー。ヴォーヌ・ロマネの中でも一際強い輝きを放つこのプルミエ・クリュは、元々は人気もなく二度の大戦で荒れ果てた状態でしたが、アンリ・ジャイエがそのポテンシャルを見出し耕したことであまりにも有名です。グラン・クリュをも凌ぐポテンシャルを持つこの畑にメオ・カミュゼは0.12haを所有し、残りの0.72haをドメーヌ・エマニュエル・ルジェ(アンリ・ジャイエの所有していた区画を最も引き継いでおり、正当な後継者と言われている偉大な生産者)が所有しています。
大部分の畑がビオロジックで栽培されており、収穫は全て手摘みで行われます。
今まではアンリ・ジャイエの教えに倣い、ブドウは全て除梗していましたが、2004年からは試験的に全房醗酵を導入。2011年以降、エシェゾーとクロ・パラントゥー、オー・ブドから収穫されたブドウの除梗率は約85%となっています。15℃の低温マセラシオンの後、醗酵が完了したワインは熟成へと回されます。
熟成期間は18ヶ月、新樽率は村名で50%、プルミエ・クリュが60~65%、グラン・クリュが100%となっており、熟成を終えたワインは無濾過で瓶詰めされます。
所有する主な畑
Clos de Vougeot クロ・ド・ヴージョ
Richebourg リシュブール
Echézeaux エシェゾー
Corton コルトン
Cros Parantoux クロ・パラントゥー(ヴォーヌ・ロマネ・プルミエ・クリュ)
Aux Brulees オー・ブリュレ(ヴォーヌ・ロマネ・プルミエ・クリュ)
Les Chaumes レ・ショーム(ヴォーヌ・ロマネ・プルミエ・クリュ)
Aux Boudots オー・ブド(ニュイ・サン・ジョルジュ・プルミエ・クリュ)
Aux Murgers オー・ミュルジェ(ニュイ・サン・ジョルジュ・プルミエ・クリュ)
ワインのスタイル
数年前までは果実味を重視しているように思われましたが、近年は複雑味も備えています。エキス分を感じる果実味とミネラル、フィネス溢れるエレガントな味わいで、非常に美しいスタイル。
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