シャンボール・ミュジニーに100年ほど続くドメーヌで、ルーミエやグロフィエに並ぶ評価を得ており、アミオ・セルヴェルなしにシャンボール・ミュジニーのワインは語れません。
複数のグラン・クリュを所有していますが、ドメーヌを代表する畑はシャンボール・ミュジニー・プルミエ・クリュ・レ・ザムルーズで、その他にも素晴らしい畑からテロワールがよく表現されたワインを造りだしています。
概要
1920年代にシャンボール・ミュジニーに本拠地を置き、祖先であるクレマン・タショーがブドウ栽培を植えたことが、ドメーヌの歴史の始まり。
1950年代には娘のセシールと娘婿のジャン・セルヴェルがドメーヌを引き継ぎ、ドメーヌ・セルヴェル・タショーが誕生しました。
このドメーヌは代々女系家族で、三代目のエリザベートと結婚した現当主クリスチャン・アミオが、1980年に婿養子としてドメーヌに参加しました。
クリスチャン・アミオはモレ・サン・ドニのピエール・アミオ家の三男で、元々は測量士として働いていましたが、エリザベートと結婚してからは養父と共にワイン造りを開始。1990年からはクリスチャン一人でワイン造りをするようになり、日常的なドメーヌの運営はエリザベートが担当。この頃にドメーヌ名が再び変わり、アミオ・セルヴェルとなりました。またクリスチャンはシャンボール・ミュジニーの栽培者組合理事長を1992~2019年まで務め、産地の発展に貢献してきました。
近年は三人の子供の内、ワイン造りの勉強をしてきた長女のプリュンヌと長男のアントワンにドメーヌを引き継ぐ準備をしています。
プリュンヌは2004年に醸造学校を卒業後、エノログ(ワイン醸造技術者を意味し、ヨーロッパでは国家資格として認められている)として、国内外のワイナリーで経験を積みました。2011年にはドメーヌに戻り、クリスチャンと共に醸造を行ってきました。また2016年には長女が誕生しており、女系家族の歴史はまだまだ続きそうです。
アントワンは2011年に来日し、株式会社飯田にてインターンとして様々な研修を受けており、また日本酒造りにも触れるなど、日本への思いが強い人物です。大学を卒業してからはボーヌのワインショップで働いていましたが、醸造学校に通いながら2017年にはドメーヌに参加。プリュンヌが醸造を行い、彼がドメーヌの運営を担当する予定です。シャンボール・ミュジニーの栽培者組合副理事長を務めており、父のように産地の発展に貢献することが期待されます。
アミオ・セルヴェルのワインは生産量が少なく、そのほとんどがフランス国内の著名なレストランで消費されるため、輸出されるのは全体の4割にも満たない量で、常に品薄状態が続いています。
栽培や醸造
ドメーヌが代々所有する畑は全てシャンボール・ミュジニーに位置していますが、2010年にはピエール・アミオ家側から相続したシャルム・シャンベルタンとクロ・サン・ドニの2つのグラン・クリュが新たに加わりました。
栽培は自然に優しいもので、ジャン・セルヴェルの代から除草剤は使用していません。クリスチャンがワイン造りを一人で行うようになった1990年からは、交信攪乱剤=セクシャル・コンフュージョンを採用し、ブドウ樹を害虫(蝶)の被害から守っています。
交信攪乱剤=セクシャル・コンフュージョンは蝶が畑に卵を産み、ブドウに害を与えるのを防ぐことが目的で使用され、その多くはカプセル状であったりリボン型になっている。これらは蝶のメスのホルモンと同じ香りを強く纏っており、オスを混乱させて生殖活動を防ぐことができる。
その他には定期的に土を耕し空気と触れさせることによって、微生物の活動を促進させたり、肥料にコンポストを使用するなどして、環境に配慮しています。2003年からは本格的に有機栽培に取り組み、2008年にはエコセール認証を取得しています。
収量を抑えるためにコルドン・ロワイヤ仕立てで多くのブドウ樹が栽培されていますが、樹齢の高いものはギュイヨ仕立てで栽培されており、植密度は10000~12000本/ha、収量は30~40hl/haとなっています。また完熟した良質のブドウにするため、必要に応じてグリーンハーベストを7~8月に行います。
畑での選果とワイナリーでの選果を終えたブドウは基本的に100%除梗され、10~12℃で4~5日間の低温マセラシオンが施されます。
醗酵は温度管理のされたステンレスタンクで行われ、続けてマロラクティック醗酵。この間、タンニンや色素を抽出するためにピジャージュとルモンタージュを行います。そして空圧式プレス機で優しく圧縮した後、重力に従ってゆっくりと樽へ移動させます。
熟成期間は15~18ヶ月。使用する新樽の比率はグラン・クリュでも75%以下、もっとも低い銘柄では10%と低いです。
熟成を終えたワインは清澄した後、無濾過(ヴィンテージによっては軽く濾過することもある)で瓶詰めされます。
所有する主な畑
Charmes-Chambertin シャルム・シャンベルタン
Clos Saint-Denis クロ・サン・ドニ
Les Amoureuses レ・ザムルーズ(シャンボール・ミュジニー・プルミエ・クリュ)
Les Charmes レ・シャルム(シャンボール・ミュジニー・プルミエ・クリュ)
Les Fuées レ・フュエ(シャンボール・ミュジニー・プルミエ・クリュ)
Les Feusselottes レ・フスロット(シャンボール・ミュジニー・プルミエ・クリュ)
Les Borniques レ・ボルニック (シャンボール・ミュジニー・プルミエ・クリュ)
Les Plantes レ・プラント(シャンボール・ミュジニー・プルミエ・クリュ)
Derriere La Grange デリエール・ラ・グランジュ(シャンボール・ミュジニー・プルミエ・クリュ)
ワインのスタイル
アミオ・セルヴェルのワインは透明感が強く非常に繊細で、ルーミエのものとは対極の存在と言えるかもしれません。ドライでありながらエキス分を感じる果実味がしっかりとあり、ややソリッドな質感で非常に高貴な味わいです。
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