所有する畑のほとんどがシャンボール・ミュジニーとジュヴレ・シャンベルタンに位置しているにも関わらず、ドメーヌはモレ・サン・ドニにある。
偉大なプルミエ・クリュ、レ・ザムルーズの最大所有者として知られ、ボンヌ・マールやレ・サンティエ、レ・オードワなどにも区画を所有しているほか、シャンベルタン・クロ・ド・ベーズも手掛ける。
概要
19世紀にフレデリック・グロフィエが創業し、1933年にはその息子のジュールがボンヌ・マールやレ・ザムルーズを手に入れ、1953年にシャンベルタン・クロ・ド・ベーズを購入し、ドメーヌの礎を築きました。
1960年にジュールから3人の子供へ畑は分割相続されますが、その内2人が果物や野菜などの作物へ植え替えようとしたため、ロベールが兄弟たちから畑を買い取りブドウ樹を守ります。
ロベールはブドウさえ栽培していれば満足するような実直なヴィニュロンでしたが、妻のジョルジェット女史から元詰めを勧められ、1973年からついに自分たちの手でワイン造りを開始します。そして今では最新の醸造設備や清潔な瓶熟庫兼テイスティングルームを備えるドメーヌとなりました。
ドメーヌに名声をもたらし、引退後も畑に立ち続けたロベールでしたが、2020年に惜しまれつつもこの世を去りました。
ロベールが引退してからは、1960年代後半からドメーヌに参加していたセルジュが当主となります。また現在はボーヌの醸造学校を卒業後、2004年からドメーヌに参加しているセルジュの息子、ニコラが母親と妻のサポートを受けながら、栽培や醸造の指揮をとっています。
栽培や醸造
以前はブルゴーニュで主流のギュイヨ仕立てだったが、1995年からはコルドン仕立てに移行。こちらの方が房同士の間隔が広いため、ブドウ樹の葉と果実により多くの日照と風通しの良い環境が出来上がり、果実の腐敗リスクを減らすことに繋がっている。またギュイヨ仕立てよりコルドン仕立ての方が一般的に収量は自然と制限されると言われている。
2005年からは除草剤の使用をやめており、全ての畑で有機栽培を実践している。
ブドウの除梗率は時代により大きく異なり、1984年までは全く除梗していなかったが、1990年代は100%除梗していたそう(世界屈指のブルゴーニュワイン専門家、ジャスパー・モリスMWの「インサイド・バーガンディ」より)。現在はヴィンテージや畑によって除梗率を変えており、100%除梗することもあれば、60%程度しか除梗しないこともある。
除梗を終えたブドウは破砕されることなくステンレスタンクへ運ばれ、8~12℃で約10日間の低温マセラシオンが行われる。醗酵は自然酵母で、この時にタンクの温度を35℃まで上げることがグロフィエの特徴。通常ここまでの高温だと酵母が死滅し、醗酵が止まってしまうリスクが高いため、他のブルゴーニュの生産者はほとんど行わない。これはロベールとセルジュが好んだ手法であり「ブドウからより良い要素を引き出すには良い温度が必要で、30℃ではこれができない」とのことで、短時間のピジャージュを頻繁に行うことで温度をコントロールしている。醗酵を終えたワインはさらに5日ほどマセラシオンが行われ、20~22℃に冷却された後にようやくプレスされる。
熟成に使用する樽は、以前は力強いヴォージュ産だったが、現在はより優しいヌヴェールやアリエ産がメインで、そのほとんどをレモン社やベルトミュー社から仕入れている。新樽率は村名ジュヴレが20%、レ・ザムルーズで40~50%、ボンヌ・マールでも50~60%と全体的に抑えられており、熟成期間は12~13ヶ月。
樽熟成を終えたワインは清澄や濾過作業は行われず瓶詰めされます。
所有する主な畑
Chambertin-Clos-de-Béze シャンベルタン・クロ・ド・ベーズ
Bonnes-Mares ボンヌ・マール
Les Amoureuses レ・ザムルーズ(シャンボール・ミュジニー・プルミエ・クリュ)
Les Sentiers レ・サンティエ(シャンボール・ミュジニー・プルミエ・クリュ)
Les Hauts Doix レ・オー・ドワ(シャンボール・ミュジニー・プルミエ・クリュ)
ワインのスタイル
グロフィエのワインは最もベーシックなパストゥグランであっても果実味が詰まっており、特にニコラが醸造を指揮するようになってからはそれが顕著になった。またタンニンは若いうちからこなれているものが多く、全体的にシルキーな質感を持っています。
若いうちから楽しむことができますが、長期熟成にも耐え得るポテンシャルがあります。
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