Domaine Ponsot
ドメーヌ・ポンソ

モレ・サン・ドニにおいてデュジャックが新興生産者の大ドメーヌなら、伝統的生産者の代表は間違いなくドメーヌ・ポンソでしょう。
特級クロ・ド・ラ・ロッシュの最大所有者であるポンソは、ルロワと並び称される自然栽培の名手であり、モレ・サン・ドニのみならずブルゴーニュ全体から尊敬される存在です。

概要

ドメーヌの歴史は1872年に、初代当主であるウィリアム・ポンソがモレ・サン・ドニに畑を所有したことに始まります。

その後1920年に、ドメーヌはウィリアムの従弟のピポリットに引き継がれます。
彼は陸軍大尉で法律家で外交官というキャリアを終えた後、ワイン造りの道へと進みます。彼はクロ・ド・ラ・ロッシュの畑を拡大するためにオリジナルのリュー・ディ・クロ・ド・ラ・ロッシュのの3/4を購入します。
そして当時はまだ珍しかったドメーヌ元詰めを1932年に開始します(この頃に元詰めを行っていたドメーヌはわずか10件ほど)。1934年からは海外への販路も拡大し、積極的に事業展開をしていきます。

さらに1957年から3代目当主となり、モレ・サン・ドニの村長を務めるほどの名士であったジャン・マリー・ポンソは、クロ・ド・ラ・ロッシュの畑からマセル・セレクションによって優れたクローンを選抜します。現在ブルゴーニュで栽培されているピノ・ノワールの80%はポンソに起源を持つと言われており、ブルゴーニュのワイン造りにおいて大きな功績を残します。

そして最もドメーヌに変革をもたらしたであろう、ローラン・ポンソが1981年に4代目当主となります。
彼は温度センサー付きラベルや独自に開発した合成コルクの採用、 雹害防止 ロケットの使用など、今までの常識に囚われない革新的技術を数多く取り入れていきました。
またワインケースの温度や保管状況をモニタリングする特殊なインテリジェント・ケースやICタグを利用し、トレーサビリティを確保しました。
数多くの功績を残したローランは2017年から、息子と共にネゴシアン事業である「ローラン・ポンソ」と立ち上げ、惜しまれつつもドメーヌを去りました。

現在ドメーヌは、1997年からドメーヌに参加しているローランの妹、ローズ・マリーが代表を務めており、醸造については支配人代理も務めるアレクサンドル・アベルが責任者となっている。
ドメーヌの体制に変化はあっても、ローランの哲学はしっかりと引き継がれているという。

ドメーヌ・ポンソと言えばクロ・ド・ラ・ロッシュやグリオット・シャンベルタンが有名だが、忘れてはならないのが、モレ・サン・ドニ・プルミエ・クリュであるクロ・デ・モン・リュイザンだろう。
この畑はコート・ドールで唯一アリゴテの使用が認められているプルミエ・クリュであり、樹齢100年の古樹からリッチかつ複雑なワインが造られています。

栽培や醸造

有機栽培やビオディナミを採用しているが、それらに制限は設けず独自のアプローチをとっている。
剪定は非常に厳しく、コルドン・ロワイヤ仕立てで行われる。これにより果房数が減り、その収量はロマネ・コンティをも下回る15hl/ha。収穫は手摘みで行われ、その時期はコート・ド・ニュイで最も遅い。そして腐敗果が健全果に触れて悪影響を及ぼすことを危惧し、選果も畑で行われる。
ブドウはヴィンテージによって状態が異なるため、除梗率やピジャージュの頻度などにルールはなく、「ルールを設けないことがルール」となっている。
醗酵容器には使い古した木桶を使用。熟成期間はとても長く30ヶ月、使用する樽は最低でも5年以上経った古樽で、最も古いものは30年以上に渡って使われている。これは新樽だと木目が粗く、熟成の進行が早いためだそう。
また亜硫酸は醗酵前に極少量添加されるが、その後は窒素ガスや炭酸ガスなどの不活性ガスによりワインを保護するため、瓶詰めの時でさえ添加されることはない。

所有する主な畑

Chambertin シャンベルタン

Charmes-Chambertin シャルム・シャンベルタン

Griotte-Chambertin グリオット・シャンベルタン

Chapelle-Chambertin シャペル・シャンベルタン

Clos de la Roche クロ・ド・ラ・ロッシュ

Clos Saint-Denis クロ・サン・ドニ

Clos de Vougeot クロ・ド・ヴージョ

Clos des Monts Luisants クロ・デ・モン・リュイザン(モレ・サン・ドニ・プルミエ・クリュ)

ワインのスタイル

透明感があり、エキスを感じる旨味がある。
若いうちは閉じており、ポテンシャルを発揮するには時間を要する。

管理人コメント

個人的にポンソのワインはアルローとかなり系統が近いと思います。
ただポンソのワインは上級品でなくても、開くまで少し時間がかかる印象です。そういった意味ではアルローはアプローチしやすいワインを造っているように感じられます。
しかしながらポンソのワインは果実味がよりピュアで、詰まっているように思います。例え飲んだものがネゴシアンもののブルゴーニュ・ルージュであったとしても、このことは理解していただけるでしょう。

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