所有する畑の95%がジュヴレ・シャンベルタンに位置し、さらにそのうちの80%がグラン・クリュ。シャンベルタン・クロ・ド・ベーズの最大所有者(全体の3分の1を所有)としても知られており、名実共にジュヴレ・シャンベルタン屈指の生産者の一つ。
概要
ドメーヌの歴史は1930年代に、初代当主ジュリアン・ダモワがジュヴレ・シャンベルタンの村名畑クロ・タミゾに土地を購入したことに始まり、当時はネゴシアン業も行っていました。
現在のドメーヌ・ピエール・ダモワを発足させたのは2代目のピエールです。
1971年には息子のジャックにドメーヌは引き継がれますが、彼の造るワインはとても薄っぺらく軽いものだったためドメーヌの名声にかげりが出ます。
その状態を改善し評価を取り戻すのに成功したのが2代目当主と同じ名前を持つピエール・ダモワです。彼は2002年に醸造所の設備を刷新したほか、栽培から熟成まで大きく改善し、ワインのスタイルに大きな変化をもたらしました。
その実力を証明するかのように、2017年にはフランスの有名なバイヤーズガイドであるレ・メイユール・ヴァン・ド・フランスにて「ブルゴーニュの優良ワイン」として選出されています。同誌で高い評価がつくのは歴史があり長期に渡って活躍しているドメーヌがほとんどのため、これは極めて異例なこと。
現在のドメーヌの名声を築いたのはピエールと言っても過言ではありません。
栽培や醸造
代々に渡り引き継がれてきた畑はどれも高樹齢で、ドメーヌ創設の際に手に入れたモノポールであるクロ・タミゾの平均樹齢は70年以上と圧巻です。
栽培にはリュット・レゾネを採用し、化学肥料や除草剤は使用しません。厳しい剪定とグリーンハーベストにより収量を抑えます。
収穫はアルマン・ルソーとは対照的にかなり遅く行います。収穫前と収穫中の2回の選果を行い収穫されたブドウは、30分以内にドメーヌへと運ばれ再び選果が行われます。
ブドウを除梗した後、区画ごとに分けて優しく抽出。2009年からはホールバンチプレス(ブドウを除梗せず房のままプレスする方式)を採用し、30%ほど加えています。
低温マセラシオンはステンレスタンクにて6~7日間、長い時では10~15日間行い、その後10~15日間醗酵させます。ピジャージュは必要と思われる時にだけ、多くても1日2回まで行われます。
熟成期間は通常18ヶ月ほどですが、ヴィンテージによっては21~36ヶ月に及ぶこともあります。その際の新樽率はグラン・クリュ70~100%、それ以下のキュヴェは30~50%となっています。ピエール・ダモワの特徴はこの時の樽の使い方で、畑によって大きく使い分けることです。長期熟成されるべきシャンベルタン・クロ・ド・ベーズには強いオークの香りを持つトロンセ産の樽を組み合わせており、繊細なシャペル・シャンベルタンにはヴォージュ産の古樽を組み合わせるなど、ピエールのこだわりが感じられます。
樽熟成を終えたワインは澱引きや清澄をせず、無濾過で瓶詰めします。
所有する主な畑
Chambertin シャンベルタン
Chambertin-Clos-de-Béze シャンベルタン・クロ・ド・ベーズ
Chapelle-Chambertin シャペル・シャンベルタン
Clos Tamisot クロ・タミゾ(ジュヴレ・シャンベルタンの村名畑、モノポール)
ワインのスタイル
よく熟した黒系果実やスパイス、アーシーなニュアンスを持つ香り。凝縮感ある力強い味わいですがミネラルも感じられ、フィネスもあるバランスの良いワイン。
管理人コメント
ピエール・ダモワのワインは濃厚な果実味と樽感のバランスの良さが素晴らしいと思います。
またグラン・クリュやプルミエ・クリュ、村名畑のクロ・タミゾが注目されがちですが、ブルゴーニュ・ルージュのクオリティも驚くほど高いです。
広域のAOCですが香りに多層性があり、味わいは濃厚かつフレッシュで伸びやかな酸味が感じられ、上品なフィニッシュへと続きます。
著名な生産者でも一番下のキュヴェは凡庸なことが多い中、ピエール・ダモワは本当に良い仕事をしていますね。
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