ジュヴレ・シャンベルタンにおいて最も尊敬を集める偉大なドメーヌ。
所有する畑面積のうち半分以上がグラン・クリュであり、それに加えてクロ・サン・ジャックやレ・カズティエ等のプルミエ・クリュにも区画を所有しており、あまりにも豪華絢爛なラインナップです。
多くのブルゴーニュラヴァーが追い求める生産者でありながら、正規輸入元からインターネット上での販売自粛が求められているため入手困難を極めます。
概要
20世紀初頭、一族がジュヴレ・シャンベルタンに所有する畑を集めてアルマン・ルソーがドメーヌを設立。婚姻によって畑を拡張した後、フィロキセラや第一次大戦の影響で価格が暴落していたシャンベルタン、シャルム・シャンベルタン、クロ・ド・ラ・ロッシュなどのグラン・クリュを買い取り、ドメーヌの礎を築きました。
他のドメーヌ同様に当初は出来上がったワインを地元の大手ネゴシアンに卸していましたが、世界恐慌の影響によりネゴシアンの経営状況が厳しくなり、以前のようにワインを買い取ってもらえなくなると、レ・メイユール・ヴァン・ド・フランスの創始者であるレイモン・ボードワンの薦めでジャン・グリヴォやアンリ・グージュ、マルキ・ダンジェルヴィルと共に元詰めを1915年に開始。当時、ワインをボトルに詰めるのは専門業者の仕事であり、それをドメーヌ自ら行うというのはタブー視されていたため異例の出来事でした。
ドメーヌの基盤を築き、ドメーヌ元詰め運動の先駆者として大きな功績を残した初代当主アルマン・ルソーでしたが、1959年に自動車事故で急逝してしまいます。そのため2代目当主にシャルル・ルソーが就任しました。
シャルルはドメーヌを引き継ぐと、シャンベルタン・クロ・ド・ベーズやリュショット・シャンベルタン・クロ・デ・リュショットを取得し、ドメーヌの規模を6haから13haへ拡大します。
ドメーヌを大きく成長させたシャルルは2016に逝去しましたが、既に栽培・醸造を担当していたエリック・ルソーが引き継ぎ、2012年からドメーヌに加わっていたシリエルと共にドメーヌを切り盛りしています。
エリックは抽出の強いスタイルがもてはやされた時代でも決して方向性を変えることなく、自然に寄り添いテロワールの尊重を最も大切にすることを貫いており、ジュヴレ最高の生産者としての地位を守り続けています。
栽培や醸造
ルソーの特徴的な点の一つは、各クリマの平均樹齢を40年以上に保っていることで、そのために定期的な植え替えを行っています。これも各クリマの面積が一定以上だから可能なことでしょう。
栽培は認証こそ得ていないものの事実上のビオロジック。除草剤や殺虫剤は使用せず、土壌本来の力に任せるため、肥料でさえ20年以上前から与えていないそうです。
そして収穫時期の早さも、このドメーヌを語るうえでは欠かせません。エリックはブドウの完熟を嫌うため、適度に熟して香りと味わいが最も良い時期を見極めて収穫します。結果的にジュヴレ・シャンベルタンの中でも、かなり早い時期での収穫となるのです。
醸造方法はクラシック。基本的に90%除梗し、15℃まで下げた後に最高30~35℃で管理し醗酵。醸しはピジャージュとルモンタージュをそれぞれ使い分け、18~20日間かけて行われます。
また新樽の使用を好む生産者が多いジュヴレ・シャンベルタンでは珍しく、シャンベルタンとシャンベルタン・クロ・ド・ベーズの新樽率100%、クロ・サン・ジャックの70~100%を除き、一切使用せず18ヶ月の熟成を行います。
清澄はせず軽く濾過した後に瓶詰め。
所有する主な畑
Chambertin シャンベルタン
Chambertin-Clos-de-Béze シャンベルタン・クロ・ド・ベーズ
Mazis-Chambertin マジ・シャンベルタン
Charmes-Chambertin シャルム・シャンベルタン
Ruchottes-Chambertin リュショット・シャンベルタン
Clos de la Roche クロ・ド・ラ・ロッシュ
Clos Saint-Jacques クロ・サン・ジャック(ジュヴレ・シャンベルタン・プルミエ・クリュ)
Les Caztieres レ・カズティエ(ジュヴレ・シャンベルタン・プルミエ・クリュ)
ワインのスタイル
華やかで甘やかな香りとシルクのように滑らかな口当たりが特徴的で、タンニンは丸みを帯びたものが多いです。これらのことから比較的早く飲み頃を迎えます。
ピノ・ノワールの魅力とテロワールごとの違いをはっきりと映し出した高貴なワイン。
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