フランスを代表する産地の一つであり、世界中のワインラヴァーから最も愛されているといっても過言ではないであろうブルゴーニュ。
北はシャブリから南はボージョレまで多くのAOCがあり、その数はフランス最多。それぞれの地域が多彩なテロワール(気候や土壌の性質のこと、詳しくはこちら)を持ち、異なる味わいのワインを生み出しています。
中でもマルサネからマランジュまではコート・ドール(黄金の丘)と呼ばれ、ブルゴーニュ全体の中でも品質の高いワインが造られています。さらにその北半分はコート・ド・ニュイと言い、偉大な赤ワインが数多く造られています。そして南半分はコート・ド・ボーヌと言い、モンラッシェをはじめとした世界有数の高級白ワインの産地として知られています。
ワインは基本的に単一の品種で造られます。赤白どちらも繊細でエレガントなものが多く、優れた畑からは長期熟成に耐える骨格の強さをもつワインが生み出されます。
ここでは使用される品種や地域(村)について簡易的に説明しており、代表的な畑やオススメの生産者も記載しています。 より詳しく知るには青字部分をクリック(タップ)してください。またメニューの「フランス→ブルゴーニュ→産地一覧(または生産者一覧)」から、詳細な解説へのリンクが設定されたリストをご覧になっていただけます。
- 使用される品種とワインの味わい
- 各地域(村)の特徴とオススメの生産者
- Chablis シャブリ
- Marsannay マルサネ
- Fixin フィサン
- Gevrey-Chambertin ジュヴレ・シャンベルタン
- Morey-Saint-Denis モレ・サンドニ
- Chambolle-Musigny シャンボール・ミュジニー
- Vougeot ヴージョ
- Vosne-Romanée ヴォーヌ・ロマネ
- Nuits-Saint-Georges ニュイ・サン・ジョルジュ
- Ladoix ラドワ
- Aloxe-Corton アロース・コルトン
- Pernand-Vergelesses ペルナン・ヴェルジュレス
- サヴィニー・レ・ボーヌ
- ショレイ・レ・ボーヌ
- ボーヌ
- ポマール
- ヴォルネイ
- モンテリー
- サン・ロマン
- オーセイ・デュレス
- ムルソー
- ブラニー
- ピュリニー・モンラッシェ
- シャサーニュ・モンラッシェ
- サン・トーバン
- サントネ
- マランジュ
- コート・シャロネーズ
- マコネ
- ボジョレー
使用される品種とワインの味わい
Pinot Noir ピノ・ノワール
かつては栽培が難しいことからフランス以外では生産者が少ない品種でしたが、今ではアメリカやニュージーランド、さらには日本の北海道まで多くの国々と地域で栽培されています。
テロワールをワインに鮮明に映し出すことから、ブルゴーニュの各アペラシオンの間でも全く違うワインが出来上がることが魅力の一つ。
ブルゴーニュのピノ・ノワールから造られるワインはチェリーやフランボワーズ、イチゴなどの赤系果実や華やかな花々の香りにスパイスのニュアンスを持つものから、ダークチェリーやプルーンのような成熟した黒系果実や動物的なニュアンスを持つものまで様々。
またピノ・ノワールは樽由来の香味と親和性が高く、多くの場合が樽で熟成されるため、バニラやダークチョコレート、トースティな香りを持ったワインとなることが多いです。
色合いは淡く透明感があり、軽やかな口当たりと上品な酸味、そして穏やかなタンニンが特徴。
そして熟成により味わいが大きく変わるのも魅力的。若い頃に感じるフレッシュな香りから、ドライフルーツやドライフラワー、なめし革、紅茶などの上品で落ち着いた香りへと変化していき複雑な印象となります。元々柔らかいタンニンはさらにワインに溶け込み一体感が増します。
より詳しくピノ・ノワールについて知るにはこちら
Chardonnay シャルドネ
こちらも様々な国と地域で栽培される品種。
産地によって香りや果実味、感じるミネラルの量などに違いが出ます。またシャルドネ自体は特徴が少ない品種ですがピノ・ノワール同様にテロワールの特徴を色濃く反映し、生産者の仕立て方に大きく影響を受けます。
ブルゴーニュのシャルドネから造られるワインはレモンやリンゴ、桃などの香りが出ることが多く、少し南のコート・シャロネーズで収穫されたものからはパイナップルのような少し熟れたフルーツが感じられます。
多くの場合シャルドネから造られるワインには、樽での熟成が施されるためナッツやバニラ、香ばしいオークが感じられることが多々ありますが、ノンオークで造られたものはそういった香りはなく、瑞々しくスッキリとしているか果実の香りが主役となります。
スッキリとしたものからコクがかなりある優雅なものまで様々。ブルゴーニュのシャルドネから造られるワインはミネラルがありつつもコクが感じられるものが多く、上質な酸味があります。
より詳しくシャルドネについて知るにはこちら
Gamay ガメイ
世界で栽培されるガメイのうち半分以上はブルゴーニュの南端、ボジョレー地区から産出されており、国際品種としてはあまり人気がありませんが、同地区の新酒である「ボジョレー・ヌーヴォー」は世界中で楽しまれており、中でも日本は最大の市場となっています。
ガメイは若飲みのワインが造られるというイメージが強いですが、クリュ・ボジョレー(村名を冠するAOC)からは長期熟成に耐え得る骨格のしっかりとしたワインも造られています。
ガメイは皮や種に対して絞られる果汁の量が多い品種というのと、醸造後の熟成期間が短いことから造られるワインの多くが淡い色調。なによりも特徴的なのは、イチゴやラズベリーなどの赤系果実やスミレの花、甘やかなキャンディー香が感じられることでしょう。またボジョレー・ヌーヴォーはマセラシオン・カルボニックという製法の影響から、バナナのような醗酵由来の香りが顕著に現れます。
ブルゴーニュのピノ・ノワールに通ずる透明感と軽やかな口当たりで、程よい酸味と穏やかなタンニンが感じられるフルーティーなワインが多いです。
より詳しくガメイについて知るにはこちら
Aligoté アリゴテ
こちらも国際品種としてはあまり人気はありませんが、ブルゴーニュの畑全体の6%にアリゴテが植えられています。また意外なことに世界で一番の栽培面積を誇るのはモルドバです。
アリゴテは粒が大きく一つの房に密生するため、シャルドネと比べると厚みがなく凝縮感に欠けた酸味の強い凡庸なワインが造られると長い間認識されてきました。しかしドメーヌ・ド・ヴィレーヌがブーズロンでアリゴテ・ドレ種からふくよかで酸味とのバランスが良いワインを造ったことや、ドメーヌ・ポンソがモレ・サン・ドニのプルミエ・クリュであるモン・リュイザンから複雑かつ長命なワインを生み出し続けてきたこともあってか、その認識は変わりつつあります。
アリゴテから造られるワインは、穏やかですが癖のない柑橘類や白い花の香りが感じられ、豊富なミネラルとシャープで引き締まった酸味が特徴的でフードフレンドリーなものが多いです。
余談ですがワインベースのカクテルとして人気のキールはアリゴテの白ワインとクレーム・ド・カシスから造られます。これは第二次大戦後、当時のディジョン市長であるフェリックス・キール氏が、落ち込んでいたワインの消費量を回復させるために普及させた飲み方で、アリゴテ種の強烈な酸味を和らげるものでした。
より詳しくアリゴテについて知るにはこちら
各地域(村)の特徴とオススメの生産者
ブルゴーニュの地域(村)の気候や土壌、造られるワインの説明と代表的な畑、管理人オススメの生産者を下記に記載しています。
※あまりにも入手難易度の高いジョルジュ・ルーミエやDRC社、ルロワ社などは、いくら美味しくても本項目では取り上げておりません。また飲み頃を見極めるのが非常に難しいクロード・デュガやベルナール・デュガ・ピィ、コント・ジョルジュ・ド・ヴォギュエなども同様です。
Chablis シャブリ
ブルゴーニュ最北の産地。キンメリジャン土壌というウミユリやサンゴ、牡蠣殻の化石を含む独特の石灰質の土壌と冷涼な気候から、塩味を連想させるヨード香や爽快なミネラル、シャープな酸味がとても特徴的なワインが造られています。
全体の2%にあたるグラン・クリュは日当たりの良さもあり、果実味もリッチで熟成するポテンシャルがあります。
日本では、ワインが一般的に消費されるようになってから常に人気がある産地で、多い時では輸入されるブルゴーニュ産白ワインの半分以上を占めます。
代表的な畑
<グラン・クリュ>
Les Clos レ・クロ
Les Preusesレ・プルーズ
Grenouilles グルヌイユ
Blanchot ブランショ
Vaudesir ヴォーデジール
Bougros ブーグロ
Valmur ヴァルミュール
Moutonne ムートンヌ(ヴォーデジールとレ・プルーズにまたがっており、畑としては認められていないがグラン・クリュとしてその名称を使用することが許されている)
<プルミエ・クリュ>
Fourchaume フルショーム
Beauroy ボーロワ
Vaillons ヴァイヨン
Montmains モンマン
オススメの生産者
Jean Paul et Benoît Droin ジャン・ポール・エ・ブノワ・ドロワン
Domaine Moreau Naudet ドメーヌ・モロー・ノーデ
Marsannay マルサネ
コート・ド・ニュイ最北の産地。グラン・クリュ、プルミエ・クリュ共にありませんが優れた村名畑がいくつかあります(現在昇格申請中)。
冷涼な気候からチャーミングな果実味とシャープな酸味を持った赤ワインが主に造られてきましたが、近年の温暖化の影響もあってか完熟したブドウから豊かな果実味を持つものを造る生産者も出てきました。
赤ワイン以外ではロゼワインが有名で、今は亡きドメーヌ・クレール・ダユが生み出したAOCマルサネ・ロゼは、コート・ドールで唯一ロゼワインの生産が許されているアペラシオンです。
代表的な畑
<村名畑>
Clos du Roy クロ・デュ・ロワ
Les Echezots レ・エシェゾー
Les Longeroies レ・ロンジュロワ
オススメの生産者
Domaine Bruno Clair ドメーヌ・ブリュノ・クレール
Domaine Philippe Charlopin Parizot ドメーヌ・フィリップ・シャルロパン・パリゾ
Louis Jadot ルイ・ジャド
Fixin フィサン
マルサネのような冷涼感と、ジュヴレ・シャンベルタンの筋肉質な性格の両方を併せ持つ赤ワインが多く造られています。
ジュヴレ・シャンベルタンほどの上品さや優雅さ、骨格の強さはなく、どことなく田舎っぽい雰囲気です。
グラン・クリュはありませんが8つのプルミエ・クリュがあり、最近ではデュガ・ピィやドゥニ・モルテなどの著名な生産者も進出しています。
代表的な畑
<プルミエ・クリュ>
Clos du Chapitre クロ・デュ・シャピトル
Clos Napoléon クロ・ナポレオン
オススメの生産者
Domaine Pierre Gelin ドメーヌ・ピエール・ジュラン
Domaine Philippe Naddef ドメーヌ・フィリップ・ナデフ
Domaine Joliet ドメーヌ・ジョリエ
Gevrey-Chambertin ジュヴレ・シャンベルタン
コート・ド・ニュイの中でも、秀逸な赤ワインを生み出す畑を最も多く抱える村です。
石灰岩や粘土、酸化鉄を含む土壌から筋肉質でがっしりとした男性的なワインが多く造られています。
香り・味わい共にブルゴーニュの中では濃厚かつ力強さがあり、タンニンも豊富ですがエレガント。
長期熟成させることで花開くワインが多いですが、生産者次第では比較的若いうちから楽しめるものもあります。
ジュヴレ・シャンベルタンについて詳しく知るには こちら
代表的な畑
<グラン・クリュ>
Chambertin シャンベルタン
Chambertin-Clos-de-Béze シャンベルタン・クロ・ド・ベーズ
Mazis-Chambertin マジ・シャンベルタン
Charmes-Chambertin シャルム・シャンベルタン
Mazoyéres-Chambertin マゾワイエール・シャンベルタン
Latriciéres-Chambertin ラトリシエール・シャンベルタン
Griotte-Chambertin グリオット・シャンベルタン
Ruchottes-Chambertin リュショット・シャンベルタン
Chapelle-Chambertin シャペル・シャンベルタン
<プルミエ・クリュ>
Clos Saint-Jacques クロ・サン・ジャック
Lavaut-Saint-Jacques ラヴォー・サン・ジャック
Les Caztieres レ・カズティエ
Bel-Air ベレール
Aux Combottes オー・コンボット
Les Champeaux レ・シャンポー
Combe aux Moines コンブ・オー・モワンヌ
オススメの生産者
Domaine Armand Rousseau ドメーヌ・アルマン・ルソー
Domaine Fourrier ドメーヌ・フーリエ
Domaine Pierre Damoy ドメーヌ・ピエール・ダモワ
Serafin Pere et Fils セラファン・ペール・エ・フィス
Morey-Saint-Denis モレ・サンドニ
ジュヴレ・シャンベルタンの骨格の強さと、シャンボール・ミュジニーの滑らかさを併せ持つワインを生み出すと言われています。
北側(ジュヴレ寄り)の区画からはがっしりとしたワインが造られ、南側(シャンボール寄り)の区画になると力強さは弱くなりますがフィネスあるワインが多く造られています。
また白ワインも少量ですが造られており、プルミエ・クリュのモン・リュイザンからデュジャックが造るワインはリッチで上品。また同じ畑から、ポンソがアリゴテから信じられないほど素晴らしいワインを造っています。
モレ・サン・ドニについて詳しく知るには こちら
代表的な畑
<グラン・クリュ>
Clos de la Roche クロ・ド・ラ・ロッシュ
Clos Saint-Denis クロ・サン・ドニ
Clos des Lambrays クロ・デ・ランブレ
Clos de Tart クロ・ド・タール
Bonnes-Mares ボンヌ・マール(モレ・サン・ドニとシャンボール・ミュジニーにまたがる畑)
<プルミエ・クリュ>
Monts Luisants モン・リュイザン
Les Ruchots レ・リュショ
Clos Sorbe クロ・ソルベ
オススメの生産者
Domaine Arlaud ドメーヌ・アルロー
Domaine Ponsot ドメーヌ・ポンソ
Domaine Michel Magnien ドメーヌ・ミッシェル・マニャン
Domaine Dujac ドメーヌ・デュジャック
Chambolle-Musigny シャンボール・ミュジニー
絹のように滑らかとまで表現される極上の口当たりを持つ赤ワインが造られています。
赤系果実の香りが中心でスパイスのニュアンスは穏やか。洗練されたミネラルとフィネス溢れる美しいスタイルのワインは、ブルゴーニュで最も女性的とも言われます。
またミュジニーはコート・ド・ニュイで唯一、白ワインを生産することができるグラン・クリュで、コント・ジョルジュ・ド・ヴォギュエのみが造っています。
シャンボール・ミュジニーについて詳しく知るには こちら
代表的な畑
<グラン・クリュ>
Musigny ミュジニー
Bonnes-Mares ボンヌ・マール(モレ・サン・ドニとシャンボール・ミュジニーにまたがる畑)
<プルミエ・クリュ>
Les Amoureuses レ・ザムルーズ
Les Charmes レ・シャルム
Les Sentiers レ・サンティエ
オススメの生産者
Domaine Robert Groffier Pere et Fils ドメーヌ・ロベール・グロフィエ・ペール・エ・フィス
Domaine Amiot Servelle ドメーヌ・アミオ・セルヴェル
Domaine Ghislaine Barthod ドメーヌ・ジスレーヌ・バルト
Vougeot ヴージョ
シャンボール・ミュジニーとフラジェ・エシェゾーの間に位置する小さな村。面積の80%を村唯一のグラン・クリュであるクロ・ド・ヴージョが占めています。そしてこれは単一畑としてはブルゴーニュにおいて面積最大。
クロ・ド・ヴージョには80以上もの生産者がおり、土壌の性質も畑の区画によって大きく異なることから様々なワインが造られています。出来上がるワインの傾向を、一言でまとめることは難しいですが、優良な生産者からは肉感的で長期熟成に耐える素晴らしいワインが造られています。
ヴージョについて詳しく知るには こちら
代表的な畑
<グラン・クリュ>
Clos de Vougeot クロ・ド・ヴージョ(昔から区画を所有していることを主張する生産者以外はクロ・ヴージョとラベルに表記している場合が多い)
<プルミエ・クリュ>
Le Clos Blanc ル・クロ・ブラン
Lea Cras レ・クラ
Les Petit Vougeot レ・プティ・ヴージョ
Clos de la Perriere クロ・ド・ラ・ペリエール
オススメの生産者
Domaine Meo Camuzet ドメーヌ・メオ・カミュゼ
Domaine Alain Hudelot Noellat ドメーヌ・アラン・ユドロ・ノエラ
Domaine Jean Grivot ドメーヌ・ジャン・グリヴォ
Domaine Fourrier ドメーヌ・フーリエ
Vosne-Romanée ヴォーヌ・ロマネ
フィネスとたくましさ、そして何よりも官能的な香りが特徴のワインを生み出します。
赤系果実の香りに加えて、バラのように優雅で気品ある香りを持ち、ジュヴレほどの屈強さはないものの、シャンボールより厚みのあるスタイルです。
またヴォーヌ・ロマネの北に位置するフラジェ・エシェゾーは、エシェゾーとグラン・エシェゾーの2つの特級畑を除き村名畑が広がる産地であるため、ヴォーヌ・ロマネの一部として考えられています。
またヴォーヌ・ロマネにはDRC社やエマニュエル・ルジェ、コント・リジェ・ベレールなどの伝説的生産者が数多く集まっており、多くのワインラヴァーがブルゴーニュの中で最も魅力を感じる産地と言っても過言ではないでしょう。
ヴォーヌ・ロマネについて詳しく知るには こちら
代表的な畑
<グラン・クリュ>
Romanée-Conti ロマネ・コンティ
La Tâche ラ・ターシュ
Richebourg リシュブール
Romanée-Saint-Vivant ロマネ・サン・ヴィヴァン
La Romanée ラ・ロマネ
La Grande Rue ラ・グランド・リュ
Grands-Echézeaux グラン・エシェゾー
Echézeaux エシェゾー
<プルミエ・クリュ>
Aux Marconsorts オー・マルコンソール
Cros Parantoux クロ・パラントゥ
Les Beaux Monts レ・ボー・モン
Clos des Réas クロ・デ・レア
オススメの生産者
Domaine Michel Gros ドメーヌ・ミッシェル・グロ
Domaine Jean Grivot ドメーヌ・ジャン・グリヴォ
Domaine Meo Camuzet ドメーヌ・メオ・カミュゼ
Domaine Arnoux Lachaux ドメーヌ・アルヌー・ラショー
Nuits-Saint-Georges ニュイ・サン・ジョルジュ
コート・ド・ニュイ南端の産地。北部(ヴォーヌ・ロマネ寄り)の区画からはヴォーヌ・ロマネに近い官能的でエレガントなワインが造られているのに対し、南部の区画からは野性的な果実の香りと屈強なタンニンを持つワインが多く造られています。
グラン・クリュはありませんが優れたプルミエ・クリュとセンスある生産者が揃っていることから、出来上がるワインはハイクオリティ。他のコート・ド・ニュイの産地と比べると価格も良心的でコストパフォーマンスの良さもあります。
代表的な畑
<プルミエ・クリュ>
Les Saint-Georges レ・サン・ジョルジュ
Les Vaucrains レ・ヴォークラン
Les Cailles レ・カイユ
Aux Boudos オー・ブド
Aux Murgers オー・ミュルジェ
Les Pululiers レ・プリュリエ
Clos des Corvées クロ・デ・コルヴェ
Clos de la Maréchalles クロ・ド・ラ・マレシャル
オススメの生産者
Domaine Prieure-Roch ドメーヌ・プリューレ・ロック
Domaine Jean Grivot ドメーヌ・ジャン・グリヴォ
Domaine Jacçues Frederic Mugnier ドメーヌ・ジャック・フレデリック・ミュニエ
Domaine Henri Gouges ドメーヌ・アンリ・グージュ
Domaine Lecheneaut ドメーヌ・レシュノー
Ladoix ラドワ
ペルナン・ヴェルジュレスと並び、コート・ド・ボーヌ最北の産地。コルトンとコルトン・シャルルマーニュというコート・ドールの中でもかなり長命なワインを生み出すグラン・クリュを、アロース・コルトンとペルナン・ヴェルジュレスと共有しています。
丘の最上部にはチョーク質土壌が中心のグラン・クリュであるコルトン・シャルルマーニュの畑があり、筋肉質で引き締まった白ワインが造られています。
丘の上中部から裾野にかけては重厚な果実味とミネラルが特徴的な赤ワインが造られていますが、ニュイ・サン・ジョルジュ側の斜面から造られるものは土っぽくスパイシーな性格となります。平野部の村名畑からは軽快な果実味を持つ、若いうちから楽しめる赤ワインが多く造られています。
偉大なグラン・クリュがある村にも関わらずとても存在感が薄い。村名表記のワインでもかなり価格が抑えられており、あえてAOCコート・ド・ボーヌ・ヴィラージュでリリースする生産者も多くみられます。
代表的な畑
<グラン・クリュ>
Corton コルトン(ラドワ、アロース・コルトン、ペルナン・ヴェルジュレスの3村にまたがる畑)
Corton-Charlemagne コルトン・シャルルマーニュ (ラドワ、アロース・コルトン、ペルナン・ヴェルジュレスの3村にまたがる畑)
<プルミエ・クリュ>
La Micaude ラ・ミコード
Les Haute Mourottes レ・オート・ムロット
La Corvee ラ・コルヴェ
Les Joyeuses レ・ジョワイエール
オススメの生産者
Maison Capitain-Gagnerot ドメーヌ・キャピタン・ガニュロ
Domaine Nudant ドメーヌ・ニュダン
Aloxe-Corton アロース・コルトン
コルトンの中でも最も優れた区画と言われる3大コルトン「コルトン・クロ・デュ・ロワ、コルトン・ルナルド、コルトン・ブレッサンド」が位置する産地。2009年からはDRC社がこの3大コルトンの古樹を使用したワインをリリースしたことから、より注目が集まっています。
コルトンとコルトン・シャルルマーニュを持つ3村の中でも最も日射量が多いことから、完熟したブドウを収穫することができ、グラマラスなボディを持つ白ワインと桁外れに長命な赤ワインを生み出します。
村名畑の赤ワインは比較的早い段階で飲み頃を迎えますが、ラドワのものと比べるとより厚みがあります。
代表的な畑
<グラン・クリュ>
Corton コルトン(ラドワ、アロース・コルトン、ペルナン・ヴェルジュレスの3村にまたがる畑)
Corton-Charlemagne コルトン・シャルルマーニュ (ラドワ、アロース・コルトン、ペルナン・ヴェルジュレスの3村にまたがる畑)
<プルミエ・クリュ>
Les Chaillots レ・シャイヨ
Les Fournieres レ・フルニエール
オススメの生産者
Domaine Tollot-Beaut ドメーヌ・トロボー
Pernand-Vergelesses ペルナン・ヴェルジュレス
アロース・コルトンほどの厳格さがなく、ラドワより果実味の肉付きが良い赤ワインと、フリンティ(火打石のよう)でスティーリー(鋼のよう)な白ワインを生み出す産地です。
この村のアン・シャルルマーニュという畑(AOC上はコルトン・シャルルマーニュ)はシャルルマーニュ大帝が所有していた区画を含み、ボノー・デュ・マルトレやジョルジュ・ルーミエといったスター生産者が集まっています。
代表的な畑
<グラン・クリュ>
Corton コルトン(ラドワ、アロース・コルトン、ペルナン・ヴェルジュレスの3村にまたがる畑)
Corton-Charlemagne コルトン・シャルルマーニュ (ラドワ、アロース・コルトン、ペルナン・ヴェルジュレスの3村にまたがる畑)
<プルミエ・クリュ>
Ile des Vergelesses イル・デ・ヴェルジュレス
オススメの生産者
Domaine Bonneau du Martray ドメーヌ・ボノー・デュ・マルトレイ
Domaine Rapet ドメーヌ・ラペ
サヴィニー・レ・ボーヌ
グラン・クリュはありませんが複数の一級畑があり、土壌の影響から赤白ともにミネラル豊かで繊細なワインが造られています。生産量の9割が赤ワインで、上品ですが価格が抑えられています。
北向きの畑から造られるワインは線が細く繊細なタイプとなりますが、南向きの畑からは果実味が豊かでしっかりとした骨格を持つものが出来上がります。
代表的な畑
オススメの生産者
ドメーヌ・シモン・ビーズ
ドメーヌ・アンヌ・フランソワーズ・グロ
ショレイ・レ・ボーヌ
他の村の村名クラス以上の畑は県道974号線の西側に位置しますが、この村の村名畑は例外的で東側に位置します。
これは西側の渓谷から流れ出た土壌が県道を超えて堆積しているためで、ジュヴレ・シャンベルタンでも同様の理由で村名畑が見られます。
プルミエ・クリュはありませんがフルーティーで親しみやすさのある赤ワインが造られており、区画によっては果実味と厚みがあります。
オススメの生産者
Domaine Tollot-Beaut ドメーヌ・トロボー
ボーヌ
ブルゴーニュの中心都市。レストランやホテルに加えて、ルイ・ジャドやジョゼフ・ドルーアンなどの大手ネゴシアンの本拠地が密集しています。
畑全体の75%がプルミエ・クリュで、高品質かつ価格も抑えられたワインが多く良心的。
赤ワインの生産量が多く、恵まれた日射量から豊富な果実味とまろやかさがある親しみやすいものが出来上がります。
また白ワインも少量ですが造られており、ジョゼフ・ドルーアンのクロ・デ・ムーシュは傑出。
代表的な畑
オススメの生産者
Louis Jadot ルイ・ジャド
Benjamin Leroux バンジャマン・ルルー
Remoissenet ルモワスネ
ポマール
ブルゴーニュの中でも最も早くAOC認定された産地であり、ヴォルネイと共に昔から人気があります。
造られるのは赤ワインのみで、粘土が多く鉄分を含む土壌から骨格の強さと濃厚な果実味、屈強なタンニンが特徴のワインが出来上がります。最上のポマールのワインは10年以上の熟成を経て飲み頃を迎えます。
代表的な畑
オススメの生産者
シャトー・ド・ポマール
ヴォルネイ
男性的なポマールとは対照的で、女性的な赤ワインを生み出す産地として知られており評価が高いです。
ポマールと表土の性質は似ていますが、基盤となる土壌が石灰岩であることから出来上がるワインは全く違う性格となります。
香りは華やかで、繊細でしなやかな口当たりと柔らかいタンニンがありエレガントなスタイルとなることが多いですが、シャンボール・ミュジニーから造られるものと比較すると、果実味は少し野性的でアーシーなニュアンスがあり、どことなく田舎っぽい雰囲気。
代表的な畑
オススメの生産者
モンテリー
コート・ド・ボーヌの中でも地味な存在であることは否めませんが、造られる赤ワインは高品質。ムルソーの著名な生産者たちが畑を所有していることからもポテンシャルの高さがうかがえます。
生産量の90%以上が赤ワイン。ヴォルネイ側とオーセイ・デュレス側で出来上がるワインは違ったスタイルとなります。前者はフルーティーで親しみやすさがありますが、後者は力強く骨格のしっかりとした長期熟成も可能なタイプとなります。
代表的な畑
オススメの生産者
サン・ロマン
ブドウ畑はブルゴーニュで最も標高の高い300~400mに位置し、かなり冷涼な気候です。
赤ワインの生産量がわずかに多いですが、泥灰土や白亜質の土壌に植えられたシャルドネから造られる白ワインはミネラルと溌剌とした酸味が特徴で、近年人気を博しています。
代表的な畑
オススメの生産者
オーセイ・デュレス
ムルソーとサン・ロマンという白ワインの評価が高い村に挟まれていながら、赤ワインの生産量が70%を占めます。
知名度は今一つですが品質は高く、赤ワインは軽やかでミネラルがありつつも骨格がしっかりとしており、白ワインはムルソーほどの厚みはありませんがリッチで酸味も少し豊富です。
代表的な畑
オススメの生産者
ムルソー
グラン・クリュがないにも関わらずピュリニー・モンラッシェ、シャサーニュ・モンラッシェと並び、シャルドネの頂点とも称される銘醸地。
リッチでまろやかで、ナッツやバターの香りがする白ワインは、1980年代にシャルドネブームが起こっていたアメリカで一躍市場を席捲しました。
しかし近年は樽を控えめにして、テロワールの表現に重きを置いた繊細なミネラルが感じられるワイン造りをする生産者が増えてきています。
代表的な畑
オススメの生産者
ブラニー
ムルソーとピュリニー・モンラッシェの間の丘にある小さな村がブラニーです。赤ワインのAOCであるためここで白ワインを造るとムルソー、またはピュリニー・モンラッシェとなります。
村の位置する場所からしてシャルドネの栽培に向いていると思われそうですが、石灰質に赤土や小石が加わった土壌のため、斜面下部を除きピノ・ノワールの栽培比率が高いです。
地味ですがクリーンな味わいと熟成のポテンシャルがある赤ワインが造られています。
プルミエ・クリュ、村名表記のワインは非常に生産量が少ないため、日本ではほとんど見かけることがありません。
代表的な畑
オススメの生産者
ピュリニー・モンラッシェ
最も偉大な畑であるモンラッシェをシャサーニュ・モンラッシェと共有するのがピュリニー・モンラッシェ。
泥灰土や化石を含んだ石灰の他様々な堆積物が重なり合った複雑な土壌から、透明感あるミネラルと豊富で引き締まった酸味、凝縮した果実味が極めて高いレベルでバランスよく感じられる白ワインが造られています。
また意外かもしれませんが、全生産量の半分を大手ネゴシアン買い付けて瓶詰めしているため、ドメーヌの数が少ないです。
代表的な畑
オススメの生産者
シャサーニュ・モンラッシェ
ピュリニー・モンラッシェと共にモンラッシェ・グラン・クリュを分け合うシャサーニュ・モンラッシェ。
優れた畑とセンスある生産者がいるにも関わらず、ムルソーやピュリニー・モンラッシェほどは熱狂的な信者がいない産地です。
ムルソーほどではありませんがグラマラス、そしてピュリニーには及びませんがミネラリーな白ワインが造られています。
白ワインの産地として有名ですが赤ワインの生産量も多く、全体の半分近くを占めます。野性的な果実味と骨格の強さから、そのスタイルはニュイ・サン・ジョルジュやポマール的と言われています。
代表的な畑
オススメの生産者
サン・トーバン
ピュリニー・モンラッシェとシャサーニュ・モンラッシェに隣接していることからも想像されるように、シャルドネの栽培には有利な条件が揃っています。しかしながら未だに知名度は低い産地であるため価格も抑えられています。
畑は標高300~400mとかなり高い位置にあり、土壌は石灰質であることからミネラル豊かでエレガントな白ワインが造られています。
代表的な畑
オススメの生産者
サントネ
ムルソー、ピュリニー、シャサーニュと白ワインの銘醸地が連なる先に位置しますが、造られるワインの多くが赤ワインです。
コート・ド・ニュイと共通の酸化鉄を含む石灰質土壌から、肉付きの良い野性的な果実味と豊富なタンニンが感じられる骨格の強いワインが造られています。コート・ド・ボーヌの中では飲み頃を迎えるのがやや遅く、貧弱なヴィンテージでなければ数年寝かせた方が良いでしょう。
代表的な畑
オススメの生産者
マランジュ
コート・ド・ボーヌで最も新しいAOCであり、最南端に位置します。
生産量の90%が赤ワインで、サントネに近い土壌であることから濃い色合いの力強いスタイルとなります。
少量ながら造られている白ワインはアロマティックで繊細なスタイル。
産地としてマイナーなのもあってか、多くが若飲みようのAOCオート・コート・ボーヌで売り出されています。
代表的な畑
オススメの生産者
コート・シャロネーズ
北はコート・ド・ボーヌ、南はマコネまでの長さ25km、幅7kmの広さを誇る地区です。
土壌は石灰質から泥灰質のものまで様々。コート・ドールと比べると少し温暖で、栽培される品種もピノ・ノワールやシャルドネに加えて、ガメイやアリゴテなどがあります。
ブドウの熟度の高さが感じられるフルーティーなワインが多く、若いうちから楽しめます。
代表的な産地
オススメの生産者
マコネ
コート・シャロネーズの南に広がるマコネ地区は「シャルドネの故郷」とも呼ばれ、火打石の破片シャイユが入り混じった石灰質土壌と温暖な気候から、フルーティーで厚みのある白ワインが多く造られています。
近年はルフレーヴやコント・ラフォンなどの一流ドメーヌが進出しており、また同地区のプイィ・フュイッセの22のクリマがプルミエ・クリュへの昇格を認可されるなど話題に絶えません。
代表的な産地
オススメの生産者
ボジョレー
マコネ地区サン・ヴェランの南に長さ55km、幅15kmにわたる広大な産地。
コート・ドールとは全く異なる花崗岩土壌がガメイの栽培に適しており、赤系果実や花々の香りが特徴のチャーミングな赤ワインが造られています。同地区の新酒である「ボジョレー・ヌーヴォー」はワインを飲まない方でもご存じでしょう。
また優れた土壌を持つクリュ・ボジョレーからは長期熟成にも耐え得る複雑で良質なワインも造られています。
代表的な産地
オススメの生産者