Benjamin Leroux
バンジャマン・ルルー

オリヴィエ・バーンスタインと同時期に現れた天才醸造家がバンジャマン・ルルー。
ブルゴーニュにおいては珍しく、ワイン造りの家系出身ではないものの、若くしてその頭角を現し、今ではミクロネゴシアンのトップ生産者の一軒に数えられます。

概要

バンジャマン・ルルーはワイン造りとは全く関係のないボーヌの花屋に生まれましたが、13歳で醸造学校に入学し大学ではエノログ(フランス国家認定ワイン醸造士)の資格を取得。
そしてオレゴンやニュージーランド、さらにはボルドーのコス・デストゥルネルなどでワイン造りを学びブルゴーニュへ戻ると、その後すぐの1999年に24歳の若さでポマールの名門「コント・アルマン」の醸造責任者に就任。
そして2007年に、ついに自身の名を冠したネゴシアン「バンジャマン・ルルー」を、ボーヌに位置するドミニク・ラフォンと共同の建物でスタート。並々ならぬブドウ栽培へのこだわりと溢れるセンス、契約栽培農家との強い信頼関係もあり、複雑にモザイク化したブルゴーニュのテロワールを巧みに表現し、すぐさま頭角を現します。その品質はネゴシアンでありながら、一流ドメーヌが手掛けるワインに比肩するクオリティです。
ネゴシアン事業が軌道に乗り、今ではヴォルネイやオーセイ・デュレスに自社畑を手に入れ、その地位を確かなものとしています。

栽培や醸造

樽での購入はせず、ブドウの状態でのみ購入。契約栽培農家の畑に幾度となく足を運び、行われている栽培方法やブドウの状態を入念に確認します。バンジャマン・ルルーが購入するブドウの畑では、その6割以上がリュット・レゾネやビオロジックが実践されており、自社畑ではビオディナミを取り入れています。
数多く手掛ける白ワインは全房でプレスし、タンクや樽、フードルなどを用いて野性酵母で醗酵、バトナージュは行わず様々なサイズの樽を用いて10~30%ほどの新樽率で12~18ヶ月熟成、必要に応じて清澄、フィルターにかけます。またキュヴェによっては熟成にステンレスタンクも併用します。
広域アペラシオンからバタール・モンラッシェのようなパワフルなキュヴェまで、全て新樽率は控え目にし、ムルソー・プルミエ・クリュのジュヌヴリエールに関しては斜面中腹部と下部で造り分けるなど、テロワールの表現に余念がありません。
赤ワインはヴィンテージによりますが、基本的に80~100%除梗(プルミエ・クリュのオー・ブドのように40%しか除梗しないこともあります)。2~3週間ほど低温マセラシオンを施し、ステンレスタンクで醗酵、その初期段階ではルモンタージュを行い、その後は日に2回ほどのピジャージュ。熟成の新樽率はやはり控え目、グラン・クリュでも50%ほどで熟成期間は12~18ヶ月間。白ワイン同様に、清澄や濾過は必要に応じて行う程度です。こちらもキュヴェによってはステンレスタンクを併用します。

手掛ける主な畑

Chambertin シャンベルタン

Mazoyéres-Chambertin マゾワイエール・シャンベルタン

Clos de la Roche クロ・ド・ラ・ロッシュ

Clos Saint-Denis クロ・サン・ドニ

Bonnes-Mares ボンヌ・マール

Clos de Vougeot クロ・ド・ヴージョ

Echézeaux エシェゾー

Corton コルトン

Corton-Charlemagne コルトン・シャルルマーニュ

Batard-Montrachet バタール・モンラッシェ

Les Amoureuses レ・ザムルーズ(シャンボール・ミュジニー・プルミエ・クリュ)

Aux Malconsorts オー・マルコンソール(ヴォーヌ・ロマネ・プルミエ・クリュ)

Clos de la Cave Des Ducs クロ・ド・ラ・カーヴ・デ・デュック(ヴォルネイ・プルミエ・クリュ、モノポール)

ワインのスタイル

数多くのアペラシオンを手掛けるが、いずれも緻密にテロワールが表現された繊細でエレガントなワイン。

管理人コメント

テクニカルな面からも分かるように樽感はかなり控え目で、バタールのようなグラン・クリュともなれば豪華な味わいではありますが、派手さはなく透明感ある果実味と美しい酸、そこにテロワールとヴィンテージの個性が加わったようなワインを造る印象です。赤ワインより白ワインにどちらかというと定評があるかもしれません。
ブルゴーニュの複雑なテロワールへの理解を深めるには、バンジャマン・ルルーのワインがぴったりです。年々人気が高まり買いにくくなっている点だけがネックですが。

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