モンラッシェと双璧をなすコルトン・シャルルマーニュを代表する生産者。近年では、DRCがボノー・デュ・マルトレイの畑を借り、コルトン・シャルルマーニュの生産を開始するというニュースが世界を騒がせました。
コルトン・シャルルマーニュ以外は、コルトンのみを手掛けており、ブルゴーニュにおいて唯一グラン・クリュのみを手掛けるドメーヌでもあります。
概要
ボノー・デュ・マルトレイの歴史は非常に古く、1855年出版の書物の中に、シャルルマーニュ皇帝が所有していた70haほどのコルトンの白ブドウのオーナーとして、ボノー家の名が記されているほどです。
1966年に前当主であるジャン・シャルル・ル・ボー・ド・ラ・モリニエール伯爵の父が、かつてボノー家が所有していた約11haの畑を相続。ドメーヌの名前はモリニエールの大叔父の名前です。
1994年にモリニエールがドメーヌを引き継ぐまでの間に、手掛けてきた赤ワインはあまり評判が良くなかったのもあり、斜面下部の土壌が肥えた区画を除き、多くのブドウ樹をシャルドネに植え替えたため、現在はコルトン・シャルルマーニュの畑が約9ha(ペルナン・ヴェルジュレスのアン・シャルルマーニュの区画とアロース・コルトンのル・シャルルマーニュの区画)、コルトンの丘の西側に広がるピノ・ノワール用の畑が2haとなっています。しかしながら、モリニエールの代となってからは、赤ワインも品質が大きく改善され、ピュアで凝縮した重厚なコルトンを造っています。
2017年の1月には、跡継ぎがいなかったため、ドメーヌがカリフォルニアのカルトワインを代表する、スクリーミング・イーグルのオーナー、スタンリー・クロンケに買収されるという衝撃的ニュースが発表されました。栽培や醸造については、以前と同じスタッフが行っており、造りに大きな変わりはないようですが、今後の動向に注目です。
栽培や醸造
ドメーヌが所有するのはアン・シャルルマーニュとル・シャルルマーニュという、コルトン・シャルルマーニュの中でも良質なワインを生み出すことで知られている区画で、一部新たに植樹されたものを除き、樹齢40~60年のブドウ樹が植えられています。日照量が豊富で、粘土をほとんど含まない畑が、このドメーヌの素晴らしいコルトン・シャルルマーニュを生み出す要因となっています。
モリニエールはこのテロワールのポテンシャルを最大限引き出すために、ブドウ樹以外の環境も整えることを大切にしていました。畑を耕すには、馬を用いるよりも土地や人にも負担のかからない、特殊なトラクターを使用。そしてあらゆる動物や昆虫、植物との生態系の維持に努めました。そのため畑での仕事は2000年からは有機栽培、2004年からはビオディナミを導入しています。
1本のブドウ樹から約5房を手摘みで収穫、100%除梗されます。優しくプレスし搾汁した後、オーク樽で醗酵。出来上がったワインはブレンドされ、澱と共に熟成されます。ボノー・デュ・マルトレイでは「オークの香りはワインそのものの味わいを覆いつくす」という考えのもと、熟成時の新樽率は30%ほどに留めており、その新樽も数年の研究の結果選ばれた、上質なものを使用しています。熟成を終えたワインは澱引きの後、瓶詰め。2ヶ月ほど寝かされます。
赤のコルトンは、手摘みで収穫されたブドウを完全に除梗し、オーク樽にて醗酵。ピジャージュとルモンタージュ、デレスタージュを必要に応じて行います。
デレスタージュとはルモンタージュの一つであり、醗酵時に果帽が浮き上がってきたら果汁のみを抜き、果皮や種子を酸化させてから数時間後に果汁を戻す手法。フリーラン収量が増加するほか、色調の安定化やフェノール化合物の穏やかな抽出、そしてタンニンが柔らかくなるといった利点があります。
その後、12ヶ月の樽熟成と6ヶ月のステンレスタンク熟成が施され、最終的なブレンド後に瓶詰めされます。そして白ワイン同様に、数ヶ月は寝かせています。
所有する主な畑
Corton コルトン
Corton-Charlemagne コルトン・シャルルマーニュ
ワインのスタイル
コルトン・シャルルマーニュは、日照量に恵まれている故か、豊かな果実味が備わっており、そこに溢れんばかりのミネラルと非常に伸びのある上質な酸が感じられる、タイトでありながら美しいスタイルです。
品質が大きく向上したコルトンは、ピュアで凝縮した果実味と豊かなタンニンを備えた重厚な味わいで、アペラシオンの特徴がよく映し出されています。しかしながら全体的にしなやかなテクスチャーを備えており、コルトン・シャルルマーニュほど待たずとも楽しむことができます。
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